パパ募集

それぞれ実家を離れて独り暮らしをしている妹が「たまにはきょうだいで飲もうぜ」と、大吟醸片手に訪れた。
妹とはSNSでお互いの生存確認をしているくらいでこうして訪れるのは珍しい。僕も暇だったし、妹がコンビニでおつまみも買ってきてくれたのでとりあえず飲んだ。
酔いも回ってきた頃、「最近どうしてるん?」と聞くと
「パパ募集してる」
と答えてきて、大吟醸を吹き出しそうになった。
とは言え、パパ募集と言うと、どうしても卑猥なイメージに聞こえるかもしれないが、僕たちきょうだいからすると、それはちょっと特別な意味を持っていた。何より、僕たちはシングルマザーの母親に育てられたのだ。パパと言う存在に憧れを抱いてもおかしくはない。
母は僕たちの父親については何も喋らなかった。母が妹を生んだ後に家を出て行ったそうで、当時幼稚園児だった僕も「誰かもう一人いたような?」くらいの記憶であり不鮮明なフィルターの向こうに父親はいた。明確に覚えているのは、母親が働いていたので僕が妹のパパ代わりになって世話をしていたことくらいだ。「どーして家にはパパがいないの?」と友達からいじめられてきた妹を慰めたりしている内に、僕にも父性本能のようなものが芽生えていたのかもしれない。
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とは言っても、僕は兄でしかなくパパではない。物心がついて不平不満は堪えるようになった妹だが、どこかでパパと言う存在を求めていても不思議ではない。女手一つで僕たちを育ててくれた母親に敬意を表していたが、ひとり暮らしとなって母親と言う枷が外れた今、妹が己の気持ちに正直にパパ募集をしているのもある意味納得する流れである。
僕がそんな感慨にふけっていると
「パパ活ってさ、金持っているおっさんにパパ~と甘えるだけで小遣いくれるからありがたいんだよね」
と、妹はゲラゲラ笑っていた。・・・先ほどまでの僕の感慨を返してほしいと呆れていると、妹は立て続けに僕にしなだれかかってきた。
「でさ、来月ちょっとピンチなんだよ。いくらか援助してくれない?ねえ、パパーいいでしょー」
僕はキミのパパじゃなーい!
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